Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
橋の上の女 ――銭形平次傑作選2
野村 胡堂
Lisez 橋の上の女 ――銭形平次傑作選2 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 88 573 caractères · 178 écrans
素見客は後生気はありませんが、本当に遊ぶ方は、いくらでも恵んで下さいます。ヘエ、南無」
乞食坊主はブツブツ言い乍ら、思い出したように小さい笊鉦などを鳴らすのです。
平次はそれから衣紋坂へ、幾度歩いたことでしょう。髷切りの噂に脅えて、更けると人足も疎になり、僅かに威勢の良い四つ手が、思い出したように宙を飛んで来ます。
丁度五回目、編笠茶屋を過ぎて、衣紋坂へ近くなった頃でした。と、ある空茶屋の軒下を廻ると、不意に、
「――――」
サッと太刀風、平次の頭にカチと鳴って、あとは不気味に静まり返ります。
太刀風と一緒に、平次の右の手は激しく頭上に動きました。が、別に土手の下を覗くでも、四方をキョロキョロするでもなく、そのまま引返して新鳥越の方へ――
「親分」
道でバタリと逢ったのは、八五郎のあわてた顔でした。親分の平次を案じてやって来たのでしょう。
「出たよ、八。兎も角勘六の家へ引返そう」
二人は其処からツイ鼻の先の下っ引勘六の家へ引返しました。
「おや、銭形の親分」
「挨拶は後だ、――灯を見せてくれ」
平次は勘六の持出した手燈の側へ、右手に持って居た三尺あまりの継竿の先を出しました。