Classiques japonais avec furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lisez 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) de 橘 外男 (たちばなそとお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 198 400 caractères · 387 écrans
「おう! そなたは小金吾……そなたは小金吾……」
と、見るより老母は、おどりあがりました。
「どうしました、小金吾そのかわりはてたすがたは――」
「……」
しかしことばもなく脾腹をおさえたまま、左肩はダラリと首のつけねからたれさがって、髪のみだれかかったうつくしい顔半面は、紅にそまっております。
「おう、そなたは斬られなすったな? だれに斬られなすった? ささ、はやく、あいてをおいい」
ことばせわしく問いかけましたが、しかし小金吾はやっぱり、くるしげに脾腹をおさえたまま、じいっとさしうつむいて、なにもいいません。肩と脾腹からは、ますます血をふきだして、いまにもガックリとまえにのめりそうです。
「小金吾、小金吾! なんです、それしきの傷で! 傷はあさい、さ、はやく、母においいなさい! だれに斬られなすった? だれに? そなたも武士の子、竜胆寺のあととりではありませんか!」
もはや臨終がせまっていたのでしょう。目はすでにとじていましたが、しかも目をとじながらも母のことばが、耳へはいったとみえて、小金吾はうつくしい面をあげて、斬られぬほうの片手をしずかにさしあげました。