Classiques japonais avec furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lisez 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) de 橘 外男 (たちばなそとお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 198 400 caractères · 387 écrans
二
堪らなくなって私が小径へ躍り出した時には陽はもうすっかり落ち切っていたのであろう。すでにあたりは靉靆模糊として樹々の繁み、本堂の彼方には夜の闇がひたひたと這い寄っているように思われた。そして林立した墓標の上にも闇と森の陰は掩い被さって、いずれも夢のように仄かに浮び上っていたが、その中でもさっきまであの三人の拝んでいた墓は一際群を抜いて大きく立派に峙っていた。
何という人の墓なのか私は込み上げてくる好奇心で二度三度その方へ眼をやって見たが、この静寂境の宵暗の中へしだいに影を溶け込まそうとしているその墓のところまで覗きに行くことすらが何となく憚られるような恐ろしい気持がして、そのまま逃げるようにして墓場を後にしてしまった。
やがてとっぷりと暮れ果てた夜空に、星ばかりの瞬いている暗い田舎道をてくてくと、私は物思いに沈みながらまた逗子の灯を眼ざして辿っていたが、いつもは長い単調な道だと思っていたこの街道も、夜のことではあり殊にさっきの由あり気な三人連れのことで好奇の心を胸一杯に躍らせながら歩いていたせいか、割合に遠いとも思わずに帰って来た。
二
「まあまあ旦那様、こんなに遅くまで! どちらへお出ででございました? 東京へでもお出でになったのかしらと思っておりましたよ」