Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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えどげいじゅつろん

江戸芸術論

永井 荷風

Lisez 江戸芸術論 (えどげいじゅつろん) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 85 130 caractères · 167 écrans

Aozora Bunko

今西洋人の所論を参照するに仏蘭西人 Teisan は曰く、

「国貞が初期の作は往々にしてその師豊国に比すべきものあり。役者似顔絵を見るにその面貌と衣裳の線を描ける筆力は遒勁なり。その挙動と表情とは欧洲人の眼には聊か誇張に過ぐるの嫌ひあれどこは日本演劇の正確なる描写ならざるべからず。国貞の役者絵には彩色を施さざる白き地紙に人物を濃く浮立たせたるもの多し。この種類の中にて吾人は藍色の濃淡殊に美しき衣裳をつけたるものを称美す。然れども彼はまた全く反対の方法を取り、黒ずみたる背景の山水に鮮明なる衣裳の色彩を対照せしむる事あり。吾人の蒐集品中にてその一例を求むれば、空に連なる薄暗き夜の山は濃き紫に、前方なる河水は黒き藍色に彩どられたり。この河辺に佇める婦女の衣裳を見るに、薄桃色にぼかされし木立の裾模様は月光を浴びたるさまを見せんとて薄青く透き通るやうに描かれたり。これ正しく仏国印象派の画論が物体は決して定まりたる色彩を有するものに非ず、照す所の光線により変化するものたりとの理論に適合するものと見るも可なり。国貞はまた常に薄紅薄藍の如き薄色地の衣裳と、殊更に濃くしたる黒色を用ゆる事を好む。