Classiques japonais avec furigana
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ふくおうじでん
福翁自伝
福沢 諭吉
Lisez 福翁自伝 (ふくおうじでん) de 福沢 諭吉 (ふくざわゆきち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 209 912 caractères · 402 écrans
迚も自分に買うことは出来ず、左ればとてゆるりと貸す気遣はないのだから、私は唯原書を眺めて心の底で独り貧乏を歎息して居るその中に、ヒョイと胸に浮んだ一策を遣て見た。「成程是れは結構な原書で御在ます。迚も之を読で仕舞うと云うことは急な事では出来ません。責めては図と目録とでも一通り拝見したいものですが、四、五日拝借は叶いますまいかと手軽に触って見たらば、「よし貸そう」と云て貸して呉れたこそ天与の僥倖、ソレカラ私は家に持て帰て、即刻鵞筆と墨と紙を用意してその原書を初から写掛けた。凡そ二百頁余のものであったと思う。それを写すに就ては誰にも言われぬのは勿論、写す処を人に見られては大変だ。家の奥の方に引込んで一切客に遇わずに、昼夜精切り一杯、根のあらん限り写した。そのとき私は藩の御用で城の門の番をする勤があって、二、三日目に一昼夜当番する順になるから、その時には昼は写本を休み、夜になれば窃と写物を持出して、朝、城門の明くまで写して、一目も眠らないのは毎度のことだが、又この通りに勉強しても、人間世界は壁に耳あり眼もあり、既に人に悟られて今にも原書を返せとか何とか云て来はしないだろうか、いよ/\露顕すれば唯原書を返したばかりでは済まぬ、御家老様の剣幕で中々六かしくなるだろうと思えば、その心配は堪らない。