Classiques japonais avec furigana
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こどうひゃくわ
胡堂百話
野村 胡堂
Lisez 胡堂百話 (こどうひゃくわ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 124 386 caractères · 248 écrans
東大の医学部でみてもらうと、やはり白内障ということにきまった。
馬琴が、次第に明を失っていった心境は、彼自身が克明に書き残している。薬を買い、医者を変え、高価な水晶の眼鏡まで求めたが、一たん失った視力は、再び元に戻らない。
「われもまた、めしいては、生甲斐なければ……」
と、あの強情な馬琴が、ついに、弱音をはいているのだ。
しかも、八犬伝を完成しなければ、という異常な粘着力は、若き嫁女に口述して、百十七回の中ごろからは、嫁女に筆記をさせたのだ。
だが、そのころの町家の嫁が、むずかしい漢字を知っているはずがなく、かなづかいから、ヘンやツクリまで、一字一字、手を取って教え、教える者も教えられる者も、泣きの涙の連続であった。
「嫁女は夢路をたどる心地して、困じはてては、うち泣くめり」
と、書いている。
私自身を考えて、もしも、このまま、永久に光明と隔絶されて、果たして、先人のような仕事が出来るであろうか。一日ごとに薄れてゆく視力で、書架の上段にずらりとならぶ「群書類従」の背文字を、全く拝みたい気持になった。
外国の楽壇に例をとれば、バッハとヘンデルが、それである。