Classiques japonais avec furigana
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こどうひゃくわ
胡堂百話
野村 胡堂
Lisez 胡堂百話 (こどうひゃくわ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 124 386 caractères · 248 écrans
そのとき、没羽箭張清が頭にうかんだ。百八人のそのうちでも、小石を投げる名人で、常に錦の袋に入れて腰にさげ、エイッと投げれば百発百中。三万余騎の大軍をひきいた敵の大将、阿里奇さえ、小石一つで落馬させてしまう。これだ、これだ!
しかし、小石のままでは芸がない。泰平の世に、誰でも何時でも持っているもの、所持することが不自然でないもの……と、なると、銭ということに落ち着かざるを得ない。
普通の一文銭なら軽すぎるが、徳川の中期から出来た四文銭。裏面に波の模様のあるいわゆる波銭ならば、目方といい、手ごたえといい、素人の私が投げてみても、これならば相手の戦闘力を一時的に完封できそうである。
というわけで、一応の構想がまとまったのは、約束どおり、約一週間ののちだったと記憶している。
編集局の二階のまどから、ぼんやりと空を見ていると、春がすみの中に、ビルの鉄骨が組み上がって、その上に、「設計、施工、銭高組」と大きな文字が浮かんでいた。
「あんなところにも、銭という字が書いてある」
と、意識の底で思ったが、それが、銭形平次を考えつく前であったか、あるいは、構想が出来て、ほっとした後で、「そういえば、あそこにも銭という字が……」