Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 142 597 caractères · 289 écrans

Aozora Bunko

初代勘兵衛はとうとう言うべきことを言ってしまいました。

「お倉は無事だよ、師匠いま逢わせて上げよう、――お静、お静」

平次は隣の室へ声をかけると、すっかり目を泣き脹らしたお倉は、平次の女房のお静に手を引かれて転げるように出て来ました。

「お、お倉じゃないか、拷問されているというのは――」

「父さん」

お倉は物も言えませんでした。初代勘兵衛の膝下へ、ただひた泣きに泣いているばかりです。

「親分、さア、私に縄を打って下さい。又六を殺したのは、確かにこの私に相違ありません」

初代勘兵衛は涙を納めると、屹と平次を振り仰ぎました。

「縛られてどうするつもりだえ、師匠」

「倅が死んだ上は、生きて行く望みもありません。私は表向き遠島になった日蔭者、私の名では起上がり小法師一つ彫れません。それにせっかく売り込んだ倅の名――二代目一刀斎は初代に優る名人――という名も惜しんでやりとうございます。このまま私を磔刑なり獄門なりにして下さい。親分、私は生きているうちは、何か彫らずにはいられない因果な人間なのです」

思い入った初代勘兵衛の態度を見ると、お倉もおろおろするばかりで、今さら止めようもありません。