Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 142 597 caractères · 289 écrans

Aozora Bunko

「驚くことがあるものか、いいついでだ、しっかり学問をしておくがいい」

「学問は気が乗らねえが、――あの娘は毎晩顔を見せるかしら?」

「馬鹿野郎」

「そんな役得でもなきゃ、十手捕縄御返上だ。“子曰く”なんか持薬にするような、悪い病はねえ」

「黙らないかよ、――呆れた野郎だ」

二人はしばらく黙って歩きました。いつの間にやら、皆川半之丞の浪宅を含む街の一角を、月に浮れたように一と廻りしていたのです。

「右隣は長崎屋幸右衛門、左は川岸だ」

平次は皆川半之丞の浪宅を押し潰しそうに、街の四分の一を占めて聳える、御金御用達兼神田両替組頭、長崎屋幸右衛門の豪勢な家を振り仰ぎました。

「長崎屋のお喜多も十九だが、――あの娘と比べちゃお月様とすっぽんだ」

ガラッ八は外の事を考えております。

「そう言ったものじゃあるめえ、お喜多も町内で五本の指に折られる娘だ、――あの娘が少し綺麗すぎるんだよ」

「へッ、娘やお月様は綺麗すぎたって腹の立つものじゃねえ」

「何を下らない、――ところで、あの皆川兄妹に逢って、何か気の付いたことはなかったかい」

平次は自分の家の方へ足を向けながら、軽い調子で問いかけました。