Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あおべかものがたり

青べか物語

山本 周五郎

Lisez 青べか物語 (あおべかものがたり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 160 961 caractères · 317 écrans

Aozora Bunko

元井エンジにも徳行泊りの番はあったから、そこに馴染の女がいたということも無根拠ではない。もしも彼にそんな覚えがないとすれば、ふじという女に会って、その実か否かを慥かめることができる筈だ。――当然、彼はそうすべきであった。それは極めてたやすいことだったから、――けれども、彼はそうはしなかった。犬儒派的にいえば、彼は賢者の知恵を持っていたとも考えられる。おさいの怒りと罵倒を聞いて帰ると、彼は自分の中にとじこもって、ぴったりと蓋を閉めたようにみえた。彼は蒸気河岸の裏長屋の一軒を借りて住み、自炊生活を始めた。船に乗っているときも、必要なこと以外には誰とも口をきかないし、長屋へ帰っても近所づきあいはしなかった。人を訪ねることもなく、訪ねて来る者もなく、暇があると、独りで将棋を指してたのしんだ。

彼の内部で、なにかが変りつつあった。水槽に小さな穴があいて、そこから水が漏るように、彼の中から、なにかが少しずつ漏れ、漏れただけべつのなにかが加わってゆく、というようなぐあいだった。他人とは口をきかないが、彼はいつかしら、絶えず自分と話をするようになった。

仕事が終って家へ帰ると、彼は雨戸の前に立停り、ちょっと雨戸を見まもっていて、それからゆっくりという、――この戸をあけよう。