Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
Lisez 青べか物語 (あおべかものがたり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 160 961 caractères · 317 écrans
彼女は私をじっと見あげ、つくづくと見てから、ゆっくりと白髪の頭を左右に振った。まえにも肥えていた躯つきに変りはないし、肉の厚いまる顔も、皺が多くなった程度で、あのころと少しも変ってはいなかった。私にはそれがはっきりしている、その人は「男の独りぐらしは」と、よく私に小言を云ったし、掃除をするからと云って、私を外へ追い出したものだ。その人がそこにい、私にはその人がわかるのに、その人には私がわからない。私を見あげた眼つき、すっかり白髪になった頭を、力なく、ゆっくりと左右に振った動作、それは紛れもなく「記憶がない」という意味を表明するものであった。
「かなしいな」私は道のほうへ歩きだしながら呟いた、「人間なんてかなしいもんだな」
私は自分の胸が空洞になり、そこをこがらしが吹きぬけるような、云いようのないかなしさに浸された。云いようのないかなしさ。いまでもそう云うほかに表現する言葉がみつからないのである。私は二人の同伴者と通船に乗ったとき、もう二度とこの町へ来ることはないだろう、と心の中で呟いた。
三十年後
十月下旬の或る日、私は二人の同伴者とともに浦粕町へいってみた。