Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あおべかものがたり

青べか物語

山本 周五郎

Lisez 青べか物語 (あおべかものがたり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 160 961 caractères · 317 écrans

Aozora Bunko

――このあとを書くと人は信じなくなるだろうが、事実を云うと、男は右手の拳を私のほうへぐいと突き出したのである。私は危険を感じて身を反らし、男は突き出した拳を上下に揺すった。これを見ろ、といったような手つきなので、その拳を注意して見ると、握った中指と人さし指とのあいだから、拇指の頭が覗いているのであった。――これが真相なのだが、よしそうでなくとも、私がどんなにへどもどし、かつぶきみに思ったかは想像がつくだろう。これは冗談なのか、それともこの男の頭がおかしいのか、私には見当もつかなかった。

どうしようがあるか、男は拳を突き出したまま、ぎょろっとした眼だまで私を睨んでいる。ふざけているのでないことは慥からしい、どうしようがありますか。私はしごくあいまいに微笑してから「やあ」というような不得要領な声をもらし、それから大きく頷いてみせた。

それで納得したのか、または話にならないと思ったのか、男は無表情のまま拳をおろし、黙って自分の釣り作業に戻った。

或る夜、私は蒸気河岸の高品さんの炉端で、その男のことを話した。高品さんの本家は十台島という小字にある深い樹立に囲まれた、一町四方もあるような邸宅で、なんでも先祖は浦粕町の開拓者だそうであるが、――高品家の長男であり、私の知人である柾三氏は、夫人のきんさんと二人で蒸気河岸