Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あらくれ

あらくれ

徳田 秋声

Leggi あらくれ di 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.451 caratteri · 236 schermate

Aozora Bunko

七十

お島はのろくさいその居眠姿が癪にさわって来ると、そこにあった大きな型定規のような木片を取って、縮毛のいじいじした小野田の頭顱へ投つけないではいられなかった。

「こののろま野郎!」

お島は血走ったような目一杯に、涙をためて、肉厚な自分の頬桁を、厚い平手で打返さないではおかない小野田に喰ってかかった。猛烈な立ちまわりが、二人のあいだに始まった。

殺しても飽足りないような、暴悪な憎悪の念が、家を飛出して行く彼女の頭に湧返っていた。

暫くすると、例の女が間借をしている二階へ、お島は真蒼になって上って行った。

「あの男と一緒になったのが、私の間違いです。私の見損いです」お島は泣きながら話した。

「どうかして一人前の人間にしてやろうと思って、方々駈ずりまわって、金をこしらえて店を持ったり何かしたのが、私の見込ちがいだったのです」

お島は口惜しそうにぼろぼろ涙を流しながら言った。

「どうしても私は別れます。あの男と一緒にいたのでは、私の女が立ちません」

荒い歔欷が、いつまで経っても遏まなかった。

七十

「どうなすったね」

脇目もふらずに、一日仕事にばかり坐っている沈みがちなその女は、惘れたような顔をして、お島が少し落着きかけて来たとき、言出した。