Classici giapponesi con furigana
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Leggi あらくれ di 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.451 caratteri · 236 schermate
九十一
「こんな事をしちゃいられない」
お島は註文を聞きに廻るべき顧客先のあることに気づくと、寝床を跳おきて、身じまいに取かかろうとしたが、男は悪闘に疲れたものか何ぞのように、裁板の前に薄ぼんやりした顔をして、夢幻のような目を目眩しい日光に瞑っていた。
「それじゃ私が旦那に一人、好いのをお世話しましょうか」
上さんは、笑談らしく妾の周旋を頼んだりする小野田に言うのであったが、お島はやっぱりそれを聞流してはいられなかった。
「そうすればお上さんもお勤めがなくて楽でしょう」
「莫迦なことを言って下さるなよ。妾なんかおく身上じゃありませんよ」
お島は腹立しそうに言った。
九十一
五六箇月の間に、そこの仮店で夫婦が稼ぎ得た収入が二千円近くもあったところから、狭苦しい三畳にもいられなかった二人が、根津の方へ店を張ることになってからも、外の活動に一層の興味を感じて来たお島は、時々その事について、親しい友達に秘密な自分の疑いを質しなどしたが、それをどうすることもできずに、忙しいその日その日を紛らされていた。
生理的の不権衡から来るらしい圧迫と、失望とを感ずるごとに、お島は鶴さんや浜屋のことが、心に蘇えって来るのを感じた。