Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あらくれ

あらくれ

徳田 秋声

Leggi あらくれ di 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.451 caratteri · 236 schermate

Aozora Bunko

青柳は頭顱の地がやや薄く透けてみえ、明みで見ると、小鬢に白髪も幾筋かちかちかしていたが、顔はてらてらして、張のある美しい目をしていた。弟はそれほど立派ではなかったが、摺った揉んだの揚句に、札がまたその男におちたと聞されたとき、お島は何となく晴がましいような気がせぬでもなかった。彼はその頃通いつつある工場の近くに下宿していて、兄の家にはいなかった。お島はこの正月以来その姿を見たこともなかった。一度自分に附文などをしてから、妙に疎々しくなっていたあの男が、婚礼の晩にどんな顔をして来るかと思うと、それが待遠しいようでもあり、不安なようでもあった。

その日は朝からお島は、気がそわそわしていた。そしてまだ夜露のじとじとしているような畠へ出て、根芋を掘ったきりで、何事にも外の働きはしなかった。畑にはもう刈残された玉蜀黍や黍に、ざわざわした秋風が渡って、囀りかわしてゆく渡鳥の群が、晴きった空を遠く飛んで行った。

午頃に頭髪が出来ると、自分が今婚礼の式を挙げようとしていることが、一層分明して来る様であったが、その相手が、十三四の頃から昵んで、よく揶揄われたり何かして来た気象の剽軽な青柳の弟に当る男だと思うと、更ったような気分にもなれなかった。