Classici giapponesi con furigana
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Leggi あらくれ di 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.451 caratteri · 236 schermate
余り人中へ出たことのない母親は、初めから来ないことになっていた。
川へ棄てようかとまで思余したお島が、ここの家を相続することに成りさえすれば、婿が誰であろうと、そんな事には頓着のない父親は、お島の姿を見ても見ぬ振をして、茶の間で養父と、地所や家屋に関して世間話に耽っていた。日頃内輪同様にしている二三の人の顔もそこに見えた。不断養父等の居間にしている六畳の部屋に敷かれた座布団も、大概塞がっていた。中には濁声で高話をしている男もあった。
外が暗くなる時分に、白粉をこてこて塗って繰込んで来た若い女連と無駄口を利いたりして、お島は時の来るのを待っていた。女連は大方は一度か二度以上口を利合った人達であったが、それが孰も、式のあとの披露の席に、酌や給仕をするためにわれて来たのであった。その中には着物の着こなしなどの、きりりとした東京ものも居た。
女達が膳椀などの取出された台所へ出て行く時分に、漸と青柳の細君や髪結につれられて、お島は盃の席へ直された。
「まあ今日のベールだね」などと、青柳が心持わなないているお島の綿帽子を眺めながら気軽そうに言った。そんな物を着ることをお島が拒んだので、着せる着せないで談がその日も縺れていたが、到頭被せられることになってしまった。