Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

あらくれ

あらくれ

徳田 秋声

Leggi あらくれ di 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.451 caratteri · 236 schermate

Aozora Bunko

そして死んだ彼の懐ろに、小判の入った重い財布があった。それをそっくり養父母は自分の有にして了ったと云うのであった。お島はその説の方に、より多く真実らしいところがあると考えたが、矢張好い気持がしなかった。

「言いたがるものには、何とでも言わしておくさ。お金ができると何とかかとか言いたがるものなのだよ」

お島がその事を、私と養母に糺したとき、彼女はそう言って苦笑していたが、養父母に対する彼女のこれまでの心持は、段々裏切られて来た。自分の幸福にさえ黒い汚点が出来たように思われた。そしてそれからと云うもの、出来るだけ養父母の秘密と、心の傷を劬りかばうようにと力めたが、どうかすると親たちから疎まれ憚られているような気がさしてならなかった。

六部の泊ったと云う、仏壇のある寂しい部屋を、お島は夜厠への往来に必ず通らなければならなかった。そこは畳の凸凹した、昼でも日の光の通わないような薄暗い八畳であった。夫婦はそこから一段高い次の部屋に寝ていたが、お島は大きくなってからは大抵勝手に近い六畳の納戸に寝されていた。お島はその八畳を通る度に、そこに財布を懐ろにしたまま死んでいる六部の蒼白い顔や姿が、まざまざ見えるような気がして、身うちが慄然とするような事があった。