Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

パンドラのはこ

パンドラの匣

太宰 治

Leggi パンドラの匣 (パンドラのはこ) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 192.644 caratteri · 386 schermate

Aozora Bunko

紹介状、持ってるだろう? ちょっと見せてくれ。」

「見てもいいの?」

「かまわない。紹介状というものはね、持参の当人が見てもかまわないように、わざと封をしていないものなんだ。ほら、そうだろう? 一応こっちでも眼をとおして置いたほうがいいんだよ。読んでみよう。いや、これぁ、ひどいなあ。簡単すぎるよ。こんな程度で大丈夫なのかなあ。」

僕も読んでみた。ばかに簡単である。友人、芹川進君を紹介します、先生の御指南を得たい由にて云々という大まかな文章である。具体的な事柄には一つも触れていない。

「これでいいのかしら。」僕は、心細くなって来た。前途が、急に暗くなったような気がして来た。

「いいんだろうよ。」兄さんにも、自信が無いらしい。「でも、ここに、友人、芹川進君と書いてあるが、この、友人、というところが泣かせどころなのかも知れない。」いい加減な事ばかり言っている。

「ごはんにしようか。」僕は、しょげてしまった。

「そうしよう。」兄さんも興覚め顔である。

それからは、あまり話もはずまなかった。

その店から出た頃は、もう日も暮れていた。兄さんは、すぐちかくの鈴岡さんの家へちょっと寄って行こうと言うのだが、僕は、明日すぐ斎藤氏を訪れてみるつもりなんだから、斎藤氏に試問されてもまごつかないように、きょうは早く家へ帰って、演劇の本をあれこれ