Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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パンドラのはこ

パンドラの匣

太宰 治

Leggi パンドラの匣 (パンドラのはこ) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 192.644 caratteri · 386 schermate

Aozora Bunko

鈴虫

1

まずは当道場の概説くだんの如しというところだ。失敬。

九月三日

鈴虫

1

拝啓仕り候。九月になると、やっぱり違うね。風が、湖面を渡って来たみたいに、ひやりとする。虫の音も、めっきり、かん高くなって来たじゃないか。僕は君のように詩人ではないのだから、秋になったからとて、別段、断腸の思いも無いが、きのうの夕方、ひとりの若い助手さんが、窓の下の池のほとりに立って、僕のほうを見て笑って、

「つくしにね、鈴虫が鳴いてるって言ってやって。」

そんな言葉を聞くと、この人たちには秋がきびしく沁みているのだという事がわかって、ちょっと息がつまった。この助手さんは、僕と同室の西脇つくし殿に、前から好意を寄せているらしいのだ。

「つくしは、いないよ。ついさっき、事務所へ行った。」と答えてやったら、急に不機嫌になり、言葉まで頗るぞんざいに、

「あらそう。いなくたっていいじゃないの。ひばりは鈴虫がきらいなの?」と妙な逆襲の仕方をして来たので、僕はわけがわからず、実にまごついた。

この若い助手さんには、どうも不可解なところが多く、僕は前から、このひとに最も気をつけて来ているのだ。綽名はマア坊。