Classici giapponesi con furigana
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うえすぎけんしん
上杉謙信
吉川 英治
Leggi 上杉謙信 (うえすぎけんしん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.102 caratteri · 256 schermate
「古志左馬之丞だっ。越後武者の手振りを見よ」
右に聞える声も敵。左にとどろく声も敵。山県昌景が、しまったと叫んだことすら遅すぎる。駸々、船底を破って溢れて来る清水のように、見るまに、全陣地は、上杉兵に散らされ、そこやここに、惨として、すでに屍となっている幾多の兵の紅に、霧の霽れ間から、かっと、血よりも紅いかと思われる旭がこぼれていた。
野面の瘤のような小高いところに立って、この緒戦を見ていた若い甲軍の一将がある。信玄の弟、武田典厩信繁であった。
彼は、八百ばかりの手勢をもって、味方山県の位置よりもはるかに左に備えていたのであるが、
「やっ? これは、上杉勢の士気、尋常ではない。かつて、緒戦からこんな凄まじい戦い振りの敵は見たこともない。おそらく、今日こそは、敗北を知らぬ武田にとっても、九死一生の難戦となろう。いざさらば、典厩信繁も、今日は死ぬ日と覚えたり」
つぶやくと、彼は、駒に一鞭あてた。敵へ駆け向ったのかと思うと、兄信玄のいる本陣の前に降り、幕をあげて、直ちに信玄の前に立った。
そして、事態の急と、いまや味方の陣が、最悪な状態に置かれたことを告げて、