Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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うえすぎけんしん

上杉謙信

吉川 英治

Leggi 上杉謙信 (うえすぎけんしん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.102 caratteri · 256 schermate

Aozora Bunko

斎藤下野

「ただ今、戻りました」

と、礼をし直した。

「すぐ飯はならぬ。まだそちは飲んでおらぬらしい。これへ来い」

と、謙信は、杯で麾いた。

斎藤下野

斎藤下野はおそるおそる主君と貴賓の前にすすんで行った。そのすがたを、近衛前嗣は眼もはなたず見ていた。どうも驚いたという顔つきである。越後にもこんな侍がいるのかと思ったらしい。その斎藤下野とは、一口にいえば、見ッともない小男というしかないが、その上に、左の一眼はつぶれているし、足は跛行をひいている。

だが、謙信としては、可愛い部下に変りはないらしく、下野が貴賓に対して、極めて遠慮がちに坐りかけると、

「もっと寄れ」

と、手ずから盃を与え、そしていうには、貴様は大の酒好きではないか、折角、きょうの好機を逸して、朝からどこへ行っておった、日ごろの口ほどもない不手柄者ではある――そういって、謙信は、笑いながら叱る真似した。

下野は、いただいた盃に、拝をして、飲みほした後、

「実は、御先祖の墳へ、墓まいりに行ってまいりました。早暁に出て、御酒宴の前までには立帰って来るつもりでしたが、古の蹟は草に埋もれ田と変り、なかなか見つからないものですから、つい遅く相成りました」