Classici giapponesi con furigana
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うえすぎけんしん
上杉謙信
吉川 英治
Leggi 上杉謙信 (うえすぎけんしん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.102 caratteri · 256 schermate
いや、その眸が、それを見るというまもなかったほどである。謙信は、右覗きに、一太刀伸ばした体を左転して信玄のほうへ向けるや否、ふたたび、
「かっッ」
と、さけんだ。
正しく、こんどのものは、謙信の腹の底から出た声である。信玄は突嗟、右手の軍配団扇を伸ばし、わずかに面を左の肩へ沈めた。
しびれた手から軍配団扇を捨てた。そして大鳳が起つように身の位置を変え、太刀のつかへ手をかけたとき、謙信の二太刀目が、彼の転じたあとの空間を斬った。
その、せつなであった。
御小人頭の原大隅は、彼方に落ちていた青貝柄の槍を拾って、
「うわうっ」
と、噛みつくような声を放って駆けて来たが、主君信玄の危機、間一髪に、その槍で、馬上の敵を突きあげた。
謙信は、見向きもせず、
「機山、卑怯なるぞ」
と、三太刀めを振りかぶりながら、馬ぐるみ、信玄の上に躍りかかろうとしていた。
右の腕に負傷した信玄が、その肘を抱えたまま、身を翻して、後ろを見せかけたからである。
その後ろ肩を臨んで、小豆長光のひかりが一閃を描いたが、ほとんど同じ一瞬に、放生月毛は一声いなないて竿立ちに脚を上げてしまった。