Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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うえすぎけんしん

上杉謙信

吉川 英治

Leggi 上杉謙信 (うえすぎけんしん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.102 caratteri · 256 schermate

Aozora Bunko

そして内政的な権力によって対抗を計る。そんな感情が日頃にある。故に、こんな時とばかり承知しない。どうしても肯かないのである。

「申しわけない。かくの通り、伝右衛門、両手をついてお詫びいたせば」

彼は、平伏して、飽くまで詫びていた。それにもかかわらず相手の坊主は、

「詫びただけではすまされぬ」

といいつのり、果ては、伝右衛門が、いかにせばよろしいかというと、

「あなたは、わしの刀を足げにした。わしだって、せめてそのあなたの頭へ、一拳与えるぐらいな返報をせねば、虫がおさまらぬ」

と、いうのだった。

伝右衛門は、平伏したまま、身をすすめて、

「然らば、どうか」

と、頭をさしのべた。

御坊主は、力まかせに撲った。

はなしは、これだけのことに過ぎないが、甲府の城下民は伝え聞くと、

「さすがに、お偉い」

と、みな伝右衛門の心事を解して同情した。

なぜならば、伝右衛門が、戦場に出るときは、常に兜の前立にも、その旗さし物にも、将棋の駒の「香車」を印としているほどな勇士であることを、誰も知っているからだった。

後には退かじ――という意気をその「香車」の前立に旗印に公約している人だった。