Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Leggi 伸子 (のぶこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.543 caratteri · 466 schermate

Aozora Bunko

三

君の方は?」

伸子は、興ざめながら答えた。

「――つや子にコドモノクニを買って行ってやっただけ」

伸子の部屋は、北向きの三畳で、曇硝子の障子が二枚たっていた。上一枚は透徹る硝子で、葉茶屋の土蔵だの、穢いトタン塀のてっぺん、自分の家の古びた庇などが、いつも同じ光線の中に見えた。そこから、空は見えなかった。曇硝子の上に、前に住んでいた子供の、太い鉛筆の、終りになるほど大きい、乱暴ないたずら書があった。5×82÷1.1+000

三

彼らの家には、訪問客というものがなかった。

高等教育を、日本で受けなかったせいであろう。佃に友達と呼ぶ者はほとんどなかった。

佃は、夜よく近所へ散歩に出た。伸子もついて出た。彼らは槇や檜葉類を少しずつ買った。それらを、西日のさす崖ぶちや、むき出しな格子の左右に植えた。その辺は、遠くに小石川台の梢を望むぎりで、立てこんだ各々の家には、木らしい木の生える余地も無かった。槇は路地の中で、青々と、子供の目をひくらしかった。午後、小学校のひけ頃になると、男の子たちが、その二本の、四尺たらずの槇の周囲に、いつとなく集った。

「おい、何だい、この樹」