Classici giapponesi con furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Leggi 伸子 (のぶこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.543 caratteri · 466 schermate
開けた時の嬉しさ! 子供らしい瑞々しさは、いつも、彼女を有頂天にした。家中が彼女とともに喜んだ。その単純な楽しみを、今年は家じゅうが持てない。大晦日は滅入ったものになるだろう。伸子は、いっそ親や弟妹が東京にいなければよい、さもなければ自分達が東京にいたくないと思った。
そういうある日、伸子は庭の隅で一本の菊をいじっていた。泥鉢の、夜店の菊ではあったが、純白の花は十一月らしい芳香を放った。凋んだ花を鋏で剪っていると、路地に俥のベルが聞えた。伸子は板塀の切戸をあけて見た。祖母が俥から降りた。伸子は、
「おばあさま、こっち、こっち」
と手招きをした。そして、俥夫に云った。
「かえりはこちらでお送りするから、帰ってよろしい」
祖母は珍しそうに、
「ほう、こんなところに木戸があるのか」
と、見廻しながら、草履をふんで庭へ入った。
「今日は買物を少ししようかと思って出たが、はあ、俺にゃ分らないからやめにして、茶をよばれに来たごんだ」
伸子は笑った。祖母は、俥を命じさせるとき、きっと、伸子のところに来たいとは云わず、本郷通りへ呉服ものを見に行くからとでも云ったのだろう。