Classici giapponesi con furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Leggi 伸子 (のぶこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.543 caratteri · 466 schermate
彼はそれを伸子に渡した。
「――いやだろうが見て下さい――そんなものが昨夜出た」
伸子は、開いて見た。ぞーっとした。一度伏せ、更に見なおした。紙の間に、くろずみかかった桃色の、花弁が破れた大輪朝顔の押花のような血痕がついていた。
「いつなの? 昨夜?」
「風呂を出てから――ここへ来ると変にむせるようになったから、それに唾をとろうとしたらそんなものが出た」
「今日は?」
「何ともない」
伸子は紙を机の上に戻した。
「変ね――とにかく安静にしていなければいけないわ――なぜ黙っていらしったの。塩水がいいのよ、直ぐそのとき飲むと……」
佃はまた、伸子の手をとった。
「――私は永い間、ずいぶん体を無理して来たから、きっと永いことはないと思っていました。日本へ帰ったら、きっとどうかなるだろうと思っていたのに、よく今日まで保ちました。――君も、ずいぶん苦しんでいるのは知っているが、せめて私の生きている間は――そう長くもないのだから、一緒に生活して欲しいと思ったので、いろいろ云ったが――もうとめる権利がなくなった。――どうか――自由にして下さい。私はもう、決して引き止めませんよ」