Classici giapponesi con furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Leggi 伸子 (のぶこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.543 caratteri · 466 schermate
素子からは、また一々それについて彼女の意見を云ってよこした。素子は、初め伸子が感じたように感情家ではあるが、底に落着きというか、世の中を知っているというか、実際的な一種の均衡を保っている女性であった。伸子が性急に感動したり、思索したりするのを、彼女は好意と滑稽とを感じつつ、愛のある皮肉で応答してよこした。
「あなたなんか、全く世間知らずなんだと思う。今日の手紙だって、あの伝で佃氏についても夢想したのだと思いました。私に感心なんかするのは馬鹿ですよ。さんざん買いかぶられた挙句、どかんと幻滅したりされるのは誰しも御免です」
また、
「私も馬鹿だが、あなたも馬鹿ですね。しかも変な手のこんだ馬鹿だ。自分の馬鹿さをいやに堂々と云い現す腕がある」
全くそうだと思い、繰り返し繰り返し素子の手紙を読み、伸子は愉快に笑った。その日の気分によって素子は細かい粒の揃った丸っこい字を丹念に書くかと思うと、駄々っ子のように、手紙の末に行くほど大きな字を乱暴に書きなぐってよこすこともある。表面大層心得たらしくあるが、彼女のしんは情に脆い、親切な、正直者であることなど、伸子は愛をもって洞察する。