Classici giapponesi con furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Leggi 伸子 (のぶこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.543 caratteri · 466 schermate
「――戸棚をあけたら、ごたごたの中から、君が動坂へやった手紙が出た。那須から。――あんな手紙を書く人とは思わなかった。実に意外だった」
暑さ、苦しさ。伸子は頭がぼっとなるようだった。再び夜が来た。彼は死のうとする蛾のようにまた伸子の上に両腕を拡げようとした。
「ああ、どうするのよ! どうしようというのよ、私を!」
おいおい泣き出し、止らず、泣きじゃくりながら伸子は気を失った。
同じような恐ろしい二日目、伸子の神経はすっかり疲労し始めた。夕方になって、彼女はおがむように佃に云った。
「ね、気が変になるまでお互に疲らしたって同じことよ。――いざという手おくれになってそんなにあなたなさるなら、なぜもっとずーっと前に、私の本気を認めて下さらなかったのでしょう。どんなに苦しがったって離れられないさ、と高をくくっていらしって……」
「女はどうか知らないが一旦結婚して男はとても一人でいられるもんじゃありませんよ――肉体的な意味でなしに――」
「――それはそうでしょう。――……でもあなたに本当に入用なのは細君である一人の女なのよ。私が細君だから離せないように思うだけなのよ。