Classici giapponesi con furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Leggi 伸子 (のぶこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.543 caratteri · 466 schermate
「……静かね」
「今いちばん人の出ない時間ですから」
絶えず右手に河を見晴らしつつ、彼らは下街に向って歩いた。
「学校からもホテルからも近かったのに、私ちっとも知りませんでした。こんなに好いところがあったの。――散歩する場所がふえてうれしいわ」
行く道にもところどころに居心地よさそうな芝生や植込みがあった。
「この公園は小ぢんまりしていていいわね」
すると佃が神経質な語調で遮るように、
「こちらではあまり独りでお歩きなさらない方がいいです」
と云った。
「そうお? 昼間でも?」
「碌でもない奴がいますから」
「ああ、それはそうね」
伸子は佃の注意の意味を諒解して素直に答えた。
「それは気をつけます――でも……日本の人は大丈夫でしょう」
佃は一層疑わしげに、非常に意味深長に、
「さあ……」
と返事を躊躇した。
「まあだんだんお解りなさいますでしょう」
十分根拠はあるのだが、礼儀上控えておくのだと云った風な佃の答えが伸子に好奇心を起させた。暫く黙って歩いた後、彼女は訊いた。
「あなたはこちらにいる日本の人のこといろいろご存じ?」
「知っている積りです」
伸子が続いて云おうとするのを、佃は引ったくって、