Classici giapponesi con furigana
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ほうがんさぶろうのしょうたい
判官三郎の正体
野村 胡堂
Leggi 判官三郎の正体 (ほうがんさぶろうのしょうたい) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.587 caratteri · 25 schermate
一
一
「泥棒の肩を持つのは穏かではないな」
唐船男爵は、心持その上品な顔をひそめて、やや胡麻塩になりかけた髭に、葉巻の煙を這わせました。
日曜の午後二時、男爵邸の小客間に集った青年達は、男爵を中心に、無駄話の花を咲かせて、長閑な春の日の午後を過して居ります。
「肩を持つという訳ではありませんが、あの『判官三郎』と名乗る泥棒ばかりは憎めませんよ。第一あれは驚くべきスポーツマンで……」
というのは、会社員の黒津武、運動家らしいキリリとした身体、勤柄で真面目な紺の背広は着て居りますが、上着一枚脱げば、何時でもラケットを握る用意が出来て居ようという、気のきいた男前です。
「というと、君自身が覘われた事でもありそうだが」
これは宮尾敬一郎という、金持の坊ちゃんです。映画とスポーツと音楽の通で知らないものは、月給を取る方法と金を儲ける方法だけといった、典型的の有閑青年。
「僕じゃない、僕の伯父がやられたんだ」
「君の伯父さん? ……成る程、君の伯父さんというと、富豪の筒井氏だネ、何んでも避雷針を伝わって空気抜から入って、抵当に預った曲玉や管玉や、素晴らしい古代の宝玉を苦もなく奪われたというではないか」