Classici giapponesi con furigana
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きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
Leggi 吸血鬼 (きゅうけつき) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 190.554 caratteri · 381 schermate
そこで同じ宿に泊り合わせた三谷青年は、彼女の素性を少しも知らないで、彼女に烈しい思いを寄せた。それさえ好ましきに、あの毒薬決闘の際の、何ともいえぬ男らしい態度。倭文子の方でも、三谷青年を思い始めたのは、決して偶然ではなかったのだ。
「あたしが、どんなに慾ばりで、多情で、いけない女だかということが、よくお分りになりまして?」
倭文子は、長い打あけ話を終って、やや上気した頬に、棄て鉢な微笑を浮かべていった。
「その最初の、貧乏な恋人というのはどんな人だったのです。忘れてしまった訳ではないのでしょう」
三谷の口調には、一寸形容しにくい、妙な感じが含まれていた。
「あたしその人にだまされたのです。初めはうまいことをいって、あたしを仕合せにしてやると約束して置きながら、ちっとも仕合せになんかならなかったのです。その人は貧しかったばかりでなく、ゾッとする様な、いやあな性質があったのです。でも、あたしを愛してはいたのですけれど、そうされればされる程、虫酸が走る程いやでいやで仕方がなかったのです」
「その人が今どうしているか、どこにいるか、あなたは、ちっとも知らないのですね」