Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きゅうけつき

吸血鬼

江戸川 乱歩

Leggi 吸血鬼 (きゅうけつき) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 190.554 caratteri · 381 schermate

Aozora Bunko

井戸の底

といって、本当に飛び込んだ訳ではない。死骸といっても、彼はお芝居の死骸なのだから。投げ込まれる格好をしただけで、ピョイと井戸の口を飛び越して、物置の隅に立った。

マスクの人物も、同じ隅へ行って、敵同志が、なかよく並んで、控えている。

「これが第二幕目の終りです」

明智が解説した。彼はやっぱり三谷の手を握りつづけている。

「で、まだ三幕目があるのですか」

恒川氏が、真暗な古井戸をのぞき込みながら、鼻をピクピクさせて、尋ねた。

「エエ、三幕目があります。しかし、ご退屈でしたら、三幕目は口でいっても分るのです」

「それがいい」

警部は即座に賛成して、

「だが、その前に、僕はこの井戸の中を調べて見たいのです」

と、もう我慢が出来ぬ様子だ。

「では、そこの隅に小さい梯子がありますから、それを井戸の中へ立てて、降りてごらんなさい。懐中電燈をお貸ししますから」

舞台監督のお許しが出たので、警部は早速、懐中電燈を借り、梯子をおろして、井戸の中へ入って行った。その底に、あんな恐ろしいものが横わっていようとは、まるで予期しないで。

降りて行くと、先ず最初、懐中電燈の光に照らし出されたのは、さっき投げ込まれた藁人形だ。