Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Leggi 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.314 caratteri · 398 schermate
竜之助夫婦は仏壇などを持たないのですから、これは前に住んだ人がこしらえ残しておいたものです。奥には阿弥陀様か何かが煤けた表装のままで蜘蛛の巣に包まれてござるほどのところで、別にお浜の思い出になるものがこの仏壇の中にあるはずもないのですが、このとき仏壇がガタガタと鳴っています。それとても不思議はない、鼠が中で荒れ廻っているからです。
それでもあまりにその音が仰山なので、お浜は、
「しっ!」
嚇してみました。
それで鼠の音はハタと止まるには止まったが、やがてバタバタと飛び出した大鼠、お浜の直ぐ枕許へ落ちました。お浜は驚いて枕を上げて打とうとすると、度を失うた鼠は、お浜の乳房と、ちょうど抱いて寝ていた郁太郎の面の間へ飛びかかったのであります。
「あれ!」
お浜は狼狽して払いのけようとする。いよいよ度を失うた鼠は、お浜の腹の方へ飛び込みました。
「あれあれ」
お浜は寝床からはね起きます。その途端に鼠はポンと郁太郎の面の上へ落ちかかると、郁太郎は火のつくように泣き出します。
「おお、坊や、坊や」
お浜は急いで郁太郎を抱き起す。鼠はその間に襖を伝わって天井の隅の壁のくずれの穴へ入ってしまいましたが、郁太郎の泣き声は五臓から絞り出すようです。