Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Leggi 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.314 caratteri · 398 schermate
二
過ぐる時、少しばかりの危難に立合ってやったのにさえ、自分に対しては再生の恩のように礼を述べた女が、ここでは、この男のために喜んで死のうという。それほどに粗末な命であったのか。死を許す深い仲を、傍で見て嫉むのではない、死の運命に落ち行く男女の粗末な命を嘲るのであろう。助けらるべき人を見殺しにする、そこに一種の痛快な感じを以て、竜之助は人を殺したあとで見する冷笑を浮べて寝ころんでいるのです。
「死ね、死ね、死にたい奴は勝手に死ぬがいい」
心の中では、こんなに叫んでいる。それでもなんだか、後からついて来るものがあるようです。
二
その晩は無事に寝て、翌朝、隣の室が騒々しいので、竜之助は朝寝の夢を破られました。ああ、昨夜の男女の客は――惜しい宝を石に落して砕いたような気持がしないでもない。途切れ途切れの話と、すすり泣きの声を耳にしながら、ウトウトと寝入ってしまって、その後のことは知らない。隣の室では人が入ったり出たり、廊下を駈けたり、階段を蹴たり、私語いたり叱ったりする。思い合わすれば、たしかに変事があったに相違ない。
竜之助は別にそれを確かめてもみず、やがて朝飯の膳に向います。