Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Leggi 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.314 caratteri · 398 schermate
お浜は鼠を呪いつめて仏壇の方を睨めて歯噛みをする。
郁太郎の苦しむことさえなくば、室の中も戸の外も、静まり切った丑三時で、しんしんと更けてゆきます。天井ではまたしても鼠が走せ廻る、その足音が「ざまを見ろ」というように聞える。
お浜は天井をまでも仇のように見上げて、見下ろすと、痛々しい繃帯が泣き疲れた郁太郎の繊細い首筋を締めつけるもののように見えて、わけもなくかわいそうでかわいそうでたまりません。
「坊や、大切におし、咽喉はだいじだからね」
お浜はこう言ってホロホロしながら、じっと我が子の面を見つめて、
「お前が万一のことがあれば、このお母さんは生きていられないよ」
実際、郁太郎は今までよく育ったもので、肉附きはよし、麻疹も軽くて済み、誰が見ても丈夫そうで、他人さえ可愛いらしかったくらいですから、お浜にとって、どうして可愛がられずにいられよう。
「ほんとに、思い出しても憎い畜生だ」
可愛さ余っての憎さはまた鼠の方へ廻る。
お浜は医者を待つ用意で寝衣を平常着に着換えようとして、ようやく少し静まった郁太郎を、そっと蒲団の上に置こうとすると、郁太郎はまたひーと泣き出す。