Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Leggi 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.314 caratteri · 398 schermate
竜之助はそのことを知っていた。お互いに同じ家に来り合せたことをその時から知ってはいたが、今日で五日ほど、人の手前を憚ってまだ親しくは面も合せず口も利かずにいた。
「そなた様もお留守居でござったか、まあ、ここへお掛けなされ」
竜之助は、自分の持っていた団扇で縁の一端を押えます。
「有難う存じます、こんな失礼な容姿で……」
いま湯の音を立てていたのは、この女であった。湯あがりに、ちょっと身じまいをして、寛いだ浴衣がけの姿に気を置いて、少し落着かぬように、まだ縁へは腰を下ろさないで、団扇を片手で綾なしながら、ちょっと蚊遣火の方に眼をそむけた横顔を、竜之助はちらと見て、むらむらと過ぎにし恋の古傷に痛みを覚えるのでありましたが、すぐにいつもの通り蒼白い色を行燈の光にそむけます。
「あなた様も、お留守居でございましたか。先日はどうも……」
「あれから、なんとなく、まだ話し残しがあるような。ほかに御用向がなければ……暫しそれへおかけなさい」
「はい、有難う存じます。こちら様へ上りましてから、まだ御挨拶も申し上げませぬ、済みませぬと思いましても、つい人目がありますので……」