Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Leggi 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 349.705 caratteri · 678 schermate
偉大なる徳は忘れられるところに存する――というようなことを、あのお喋りが喋って聞かせたことがある。
十日飢えて一椀の飯の有難さを感ずる心を以て、この大千世界の恩恵に泣けるようになって、はじめて人間の魂が生き返る!
というようなことをあのお喋りが言っていた。忘れなければいけない、忘れられなければいけない、忘れるところに総ての徳が育ち、忘れられるところにすべての徳が実るのだ――
こんなことを、あのお喋りがよく言い言いしたものだ。
もし、そうだとすれば、今までわたしに、一別来の安否をも存亡をも忘れさせていたあのお喋り坊主の存在は、わたしの触れて来た人間のうちの、最も偉大なるものではなかったか?
そんなことでありようはずがない、そうだとすれば、最も忘れ得られない存在は、最も下等なものとなるのではないか。
わたしにはそれがあるのよ――憚りながらここに至って、お銀様はまた冷笑を以て答えようとしました。
淡きことは水の如く、薄きことは煙の如き存在に比べて、熱いことは湯のように、重いことは鉛のように、濃いことは血のように、旺んなることは潮のように、今もこうしてわたしの身肉に食い入って、わたしをこんなに浮動させている悩ましいこの存在を、お前は知らないの?