Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

Leggi 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 349.705 caratteri · 678 schermate

Aozora Bunko

「今度は海ばかり見ないで、雲を少しごらんなさい」

駒井はお松に向って遠眼鏡を天上に向けることをすすめましたが、お松はそれに従わないで、

「あれ――舟が見えました、はじめて、あれは舟ではございますまいか」

「舟! どんな形をしています」

「たしか舟だろうと思いますが、見慣れた日本の舟の形をしています、黒船ではございません」

「どれ――」

駒井は、お松の手から遠眼鏡を受取って、

「なるほど、舟にはちがいない」

「ね、舟でございましょう」

「舟だ――お前の見た通り和船だ、漁師船だな、鰹でも釣りに出たのだろう……あ、面白いぞ、面白いぞ、お松さんごらん、すてきなものが出て来ましたぞ」

「何でございますか」

「まあ、ごらん、いま見た舟よりずっと南の方を」

「南はどちらでございますか」

「右の手の方が南です、そら、あの辺をごらん」

と言って、再び駒井はお松に遠眼鏡を手渡しました。

指さされた方を一心に見ていたお松は、

「あ、黒船がまいりました」

「黒船ではないよ」

「いいえ、黒船でございます、間違いなく」

「船ではないのだ、あれが鯨というものだ」

「まあ、あれが鯨でございますか――大きな魚もあればあるものでございますねえ」