Classici giapponesi con furigana
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
Leggi 探偵夜話 (たんていやわ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 140.363 caratteri · 277 schermate
留守の人にきくと、さっき出たぎりでまだ帰らないというのです。あれから何処へ行って何をしているのか。いよいよ不安に思いながら引っ返して来ると、その晩の七時頃でした。駐在所の前を犬のように駈けて行く者がある。それがどうも与助らしいので、わたくしは再びそれを追って出ました。
その晩は四月の末で、花の遅いここらの村ももう青葉になっていました。薄い月がぼんやりと田圃路を照らして、どこかで蛙の声がきこえます。わたくしはその薄月を頼りにして、一生懸命に与助のあとを付けて行きますと、与助は村はずれを流れている山川のふちに立って、なにか呪文でも唱えているらしく見えました。その川は与助の母が彼を背負って十四年前に沈んだという所です。与助はやがてそこを立ち去って今度は隣り村の方へ駈けて行くらしいので、わたくしも又つづいて追って行きますと、与助は大きい榎の立っている百姓家の門に忍び寄って、杉の生け垣のくずれから家をのぞいているようでしたが、やがてその生け垣を押し破って忍び込もうとするらしいので、わたくしは不意にうしろからその肩をつかんで引き戻しました。彼もさすがにびっくりしたらしいのですが、それでも私であることを覚って安心したらしく、自分の腰にさしている古い短刀を出して自慢そうに私に見せました。