Classici giapponesi con furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate
――書記からその度牒を手渡されると、これで彼も形だけは出家並の一人となったわけである。それから、長老は、彼の青いテラテラな頭上へ手をのせて“戒”を授けた。
「一に仏法に帰依、二に正法に帰奉、三に師友に帰敬。これを三帰という。……次の五戒とは、殺生、偸盗、邪淫、貪酒、妄語のことじゃ。守るか」
「はい。守ります」
魯智深が答えると、なぜかまわりでまた笑った。禅の宗門では、ただ「応」とか「否」とか一語で答えるのが作法だからで、智深はことごとに顔を赤くするばかりだった。
晩には雲堂で大饗(斎の馳走)が行われた。趙の長者から祝いの品々や心づけが端から端まで配られた。――こうして長者は、翌日、下山にさいして、魯智深を一人、選仏場の木蔭へ呼んで、しんみりと言い残した。
「馴れぬ生活で、初めのほどはお辛いでしょうが、どうかみッしり修行して下さいよ。長老にも、くれぐれお願いしてありますから」
「どうも、えらい厄介になりましたな。が、ご安心してください。もうこの頭では、生れ変って大人しくなるしかありません」
と、彼は青い頭を叩いてみせた。
だが、趙の山轎を見送って、叢林の一房に帰ってくると、彼はもう長者の言も忘れ顔に、ごろりと仰向けに寝ころんでいた。