Classici giapponesi con furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate
「どうも坊主はまことに不便だな。が、まあ……出家の身だ、死んだと思ってあきらめようかい。……やい酒屋」
「へい」
「こぼさずに担いでいけよ。石コロ坂に飲ませたって、坂道がいい色になって嬉しがりはせんぜ」
「どうもご親切さまに」
「ふざけるな、わが輩は泣きてえんだ。いまいましい奴に出ッくわしたわえ。早く行ッちまえ」
眼をつむって、そこは大股に馳け去った。そしてやがてのこと。麓の明媚な風光が展かれてきたと思うと、また下のほうから、いとものどかな鼻唄調子が聞えてきた。
この辺は、漢の高祖が楚の大軍をやぶった古戦場である。またかの有名な項羽と虞美人が最期の悲涙を濡らして相擁した烏江の夜陣のあとも近い。だから附近の牧童や里人も今にそれを俚謡として歌う。
九里山の草木は知ってるとサ、戦場のあとだとサ
おらも拾ったよ、サビ刀、土になった槍
烏江の水は風に捲かれて、アレ見せる
虞姫と項羽の、別れともない身もだえを
「おや、また何か担いできやがったぞ。ほほう。やってくるのはまたぞろ酒屋男だわえ。どうも今日はよくよく運の悪い日とみえるな」
おそらく、うさん臭い大坊主と先に恐れたのだろう、酒屋男は鼻唄をぷつんとやめた。