Classici giapponesi con furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate
なに、裏には、ただの楷書があると。どれどれ」
彼は、赤い火にいぶされながら、なにげなく、碑の裏へ廻って、顔を寄せた。
四つの大きな文字。それは、
遇洪而開
と、読まれた。
「や。洪ニ遇ッテ開クだと? ……。はてな、洪とはおれ、おれに遇って開くとは」
なに思ったか、彼は、全身に瘤をこさえて、大きく唸った。そして、碑を仆せ、石亀をのぞいて、その下を掘り起せと、狂気じみた声を発した。
もちろん、人々は極力、その暴を諫めぬいた。哀号泣訴、
「恐ろしや、恐ろしや。そのような、大それた儀は、ど、どうぞ、お見あわせ下さいませ」
と、地へ、へばッたまま、起ちもしない。
「だまれっ」と、洪は大喝した。「――なにが空恐ろしいのだ。見ろ、碑の文字を。……洪ニ遇ッテ開ク、とあるではないか。すでに古の神仙は、今日、儂がこれへ参るのを、予言いたしておったのだ。いやだと申す者は、素首をぶった斬るぞ」
剣把をたたくと、人々は、もう顫えあがって、唯々諾々と、彼の命のままうごくしかなかった。
大勢の力で、碑は仆され、石亀は数百年の眠りから揺り起された。そして、一転二転、腹を見せた石亀のまろぶ地響きと同時に、人々の足の裏から、ごうッと、大釜の湯でも沸るような音が聞えた。