Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate

Aozora Bunko

「承知しました。さっそくに移ります」

多くもない荷物を持ち、彼はその夜のうちに、東門外へ引っ越した。折から々たる朔風の唸りが厳冬の闇を翔け、空には白いものが魔の息吹きみたいにちらつきだしていた。

――見れば、荒れ崩れた長い黄土の土塀、曲がりかけた観音開きの木戸。入って、まん中の一番大きなまぐさ小屋が、番人の住む台所付きの建物らしい。

黄ばんだ寒灯の洩れてくるところから、先任の老番人が、彼の跫音に首を出した。

「ほう、おまえかね、こんどのまぐさ番は。昼、わしのほうへも、天王堂の者と入れ代れというお差紙がきていたが」

「やあ、遅く来て申しわけない。食器や雑器など、天王堂へ置き残してきたがらくたもあるが、よかったら使ってください」

「そうかい。ここにも、おらの使っていた酒瓢箪やら、鍋や欠け茶碗なぞもころがってるよ。よかったら使うがいいぜ。それとな、夜具はこの隅に。もっと奥には、あんなに炭俵が山と積んである。なにしろ寒いから、冬中は炉に火は絶やされねえでの」

「買物はどこへ出ますか」

「そうそう、西の藪道を二、三里行くとな、ちょっとした酒屋や肉屋の用は足りる。ただ、馬糧廠は、まぐさ盗ッ人がよく狙うところだから、それだけは用心しなよ」