Classici giapponesi con furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate
後ろ姿を見送ってから、その足で裏庭へ廻ってきた晁蓋は、心のうちで、
「しまった。おれはいいが」
と、慚愧の舌打ちを洩らしていた。
「あの人は、県の押司だ。かりそめにもその役人が、天下の賊を逃がしたと後で知れたら、身の破滅は知れたこと。……ああ、おれはうッかり自分のことだけに気をとられて、それを問わずにしまったが」
腕拱いていると、寄ってきた劉唐、公孫勝、呉用の三名が、こもごもに、
「いま帰ったのは、誰ですか」
「何ぞ、俄なことでも起ったので?」
と訊ね合った。
晁蓋は、委細を語って、
「――もし宋江が報らせにきてくれなかったら、おれたちは一網打尽になるところだった。さっそく何とか考えずばなるまい」
「じゃあ、早くも、事露見ってえわけですね。白日鼠も脆いやつだナ。拷問ぐらいに口を割るとは」
「呉用先生。どうしたもンでしょう」
「三十六計、逃げる以外に手はありますまい。……が、さっきの宋江というのは」
「県の押司で、じつはこの晁蓋とは、義兄弟といってよいほど、日ごろ、心腹の誼を結んでいた人です」
「では、あの評判な及時雨ノ宋江でしたか。ならば、身を犠牲とする覚悟で焦眉の危急を、あなたへ告げてきたのも道理だ。