Classici giapponesi con furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate
……まあおきまり文句さね」
「首はいやだな。褒美といくか」
「かねがね狙っていたあのツボだ。あの嶺のやつを狩り出そうぜ」
「合点だ。弟、今夜のうちに、罠弓、毒矢、それから弩弓、そうだ刺叉も持って行こう。揃えておけよ」
日限は三日とある。
明くるや早くに、二人は薄刃の山刀を腰に、手には必殺道具を抱え、しめたる帯は虎の筋、豹の皮の半袴といういでたちで、雲を踏み、風にうそぶいて、「ここらは出るところ」
と、日ねもす歩き廻っていた。
さがすときには、ぶつからない。虎の糞を見ただけである。あくる日もまた、乾飯、牛骨を舐ぶり舐ぶり、この日もまた駄目。
「兄貴、あしたで日限れだぜ」
「知ッてやがるのかな、虎のやつ」
「意地のわるいもんだ。手ぶらで歩いている時にゃ、よく、のそついて来やがるくせによ」
「弱ったなあ。考えると寝つかれねえや」
野宿の夜半もすぎていた。
火の気は禁物。霧が寒い。抱きあって二人は寝ていた。いつかぐうっと深い鼾声をかきこんで――。
「あっ?」
刎ね起きたのは夜明けまぢかだった。
「兄貴、まちがいねえ。今のはたしかに、罠弓が弾ぜた音だぜ」
「しめた。行ってみろ」