Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

Leggi 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) di 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 346.393 caratteri · 692 schermate

Aozora Bunko

二十六

笹村も箸を措いたまま、お銀の顔を眺めた。その目の底には、胎児に対する一種の後悔の影が閃いていた。

慌忙しいような夕飯が済むと、笹村は何やら持ち出して家を出た。母親もそれと前後して、産婆を呼びに行った。

二十六

少しばかりの金を袂の底に押し込んで、笹村は町をぶらぶら歩いていた。出産が気にかかりながら、その場に居合わしたくないような心持もしていたので、しばらく顔を出さなかった代診のところへ寄って見た。笹村はいい加減に翫弄にされているように思って、三、四月ごろ注射を五本ばかり試みたきり罷めていたが、やはりそれが不安心であった。

「このごろはちっとは快いかね。」

医師はビールに酔った顔を団扇で煽ぎながら言った。

笹村は今夜産れる子供を、すぐ引き取ってもらえるような家はあるまいかと、その相談を持ち出した。稚い時分近所同士であったこの男には、笹村は何事も打ち明けることを憚らなかった。

「ないことはない。けど後で後悔するぞ。」と、医師はある女とのなかに出来た、自分の子を里にやっておいた経験などを話して聞かした。

「後のことなど、今考えていられないんだからね。」

笹村はその心当りの家の様子が詳しく知りたかった。