Classici giapponesi con furigana
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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Leggi 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) di 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 346.393 caratteri · 692 schermate
自分の母親の実家に伝わったいろいろの伝説なども小耳に挟んでいた。朝鮮征伐から分捕って来た荒仏、その時代の諸将の書翰、太閤の墨附……そんなような物をいろいろ見せられた幼時の記憶も長いあいだ忘られていた。時々振り顧って見る気になるのは、自分の体質の似ているといわれた母方の祖父ぐらいのものであった。その祖父は公債を友人に横領されたのを憤って、その男を刺して自分も割腹して死んだといわれていた。零落れた家の後添えの腹に三男として産れて、頽廃した空気のなかに生い立って来た笹村の頭には、家庭とか家族とかいうような観念もおのずから薄かった。はかない芸術上の努力で、どうかして生きられるものならば……と、それに縋りついて、この六、七年一日一日と引き摺られて来た笹村は、お銀との長い将来のことなどは、少しも考えていなかった。
「君の頭脳で、まアとにかくあの女を躾けて行きたまえ。」
こう言ってくれた友人の言葉にも、笹村は全く無感覚であった。
翌日笹村が起きたとき、父親は母親と一緒に茶の間で朝茶を飲んでいた。こうして一緒に茶を飲むなどということの、近来めったになかった母親の顔には、包みきれぬ喜悦の色があった。