Classici giapponesi con furigana
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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Leggi 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) di 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 346.393 caratteri · 692 schermate
男は折り鞄などを提げて、昼間でも会社の帰りなどに、ちょいちょいやって来た。日が暮れてから、家から出て来ることもあった。男は女房持ちであった。
お増は髪を丸髷などに結って、台所で酒の支度をした。二人で広小路で買って来た餉台のうえには、男の好きなや、鯛煎餅の炙ったのなどがならべられた。近所から取った、鰻の丼を二人で食べたりなどした。
いつも肩のあたりの色の褪めた背広などを着込んで、通って来たころから見ると、男はよほど金廻りがよくなっていた。米琉の絣の対の袷に模様のある角帯などをしめ、金縁眼鏡をかけている男のきりりとした様子には、そのころの書生らしい面影もなかった。
酒の切揚げなどの速い男は、来てもでれでれしているようなことはめったになかった。会社の仕事や、金儲けのことが、始終頭にあった。そして床を離れると、じきに時計を見ながらそこを出た。閉めきった入口の板戸が急いで開けられた。
男が帰ってしまうと、お増の心はまた旧の寂しさに反った。女房持ちの男のところへ来たことが、悔いられた。
「お神さんがないなんて、私を瞞しておいて、あなたもひどいじゃないの。」
来てから間もなく、向うの家のお婆さんからそのことを洩れ聞いたときに、お増はムキになって男を責めた。