Classici giapponesi con furigana
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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Leggi 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) di 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 346.393 caratteri · 692 schermate
「莫迦な男ね。」
お増は浅井の低声で読みあげるその手紙を笑い出したが、お今は何の感情も動かぬらしかった。
「でもこんなに迷わせて、可哀そうじゃないか。何とかしてやったらいいじゃないの。」
お増はお今を振り顧った。
「こんな手紙を貰って、どんな気がするの。」
「悪い気持はしないさな。」
浅井は笑いながら手紙をそこに置いた。
「本人同士で、話ができてしまったら、親たちはどうするでしょう。」
お増はそうも言って浅井に訊ねた。
帰郷前よりも一層潤沢をもって来たお今の目などの、浅井に対する物思わしげな表情を、お増は見遁すことができなかった。
夜一つに寝ているときに、お増は浅井のいないのに気がついたように考えて、ふと目のさめることがあった。活動写真でいつか見たような一場の光景が、今見た夢のなかへ現われていたことが疲れた頭に思い出された。風に揺られる蒼々した木立ちの繁みの間に、白々した路が一筋どこまでも続いていた。そこに男の女を追いかけている姿がかすかに見透された。それが浅井とお今とであるらしかった。ふと白いベッドのなかに、雑種のような目をしたお今の大きな顔と、浅井の形のいい頭顱とがぽっかり見えだしたりしていた。