Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きゅうしゅじん

旧主人・芽生

島崎 藤村

Leggi 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.813 caratteri · 302 schermate

Aozora Bunko

子供は二人が喧嘩でもするのかと思って、烈しく泣いたということです。

間もなくお隅はこの番人と夫婦になりたいということを、人を以(もっ)て、父親のところへ言込みました。

お隅が迷いもし、恐れもしたことは、それから又た間もなく夫婦約束を取消したいと言って、父親の許(ところ)へ泣いて来たのでも知れる。お隅は小鳥です。その小鳥が網を張って待っていた番人の家へ出掛けて行って、前(さき)の約束を断ろうとすると――獣欲で饑渇(うえかわ)いた男のことですから堪(たま)りません、復たお隅は辱(はずか)しめられました。番人は手柄顔に吹聴する、さあ停車場附近では専(もっぱ)ら評判、工夫の群まで笑わずにはおりませんのでした。とうとうお隅は父親へ置手紙をして、ある夜の闇に紛れて、大屋を出奔して了いました。

父親がこの書記に見せた手紙の中には、無量の悲哀(かなしみ)が籠(こ)めてあったということです。鉄釘(かなくぎ)流に書いた文字は一々涙の痕(あと)で、情が迫って、言葉のつづきも分らない程。それは主人へ対して申訳のないこと、朝夕にまといつく主人の子供もさぞ後で尋ね慕うかと思えば愍然(ふびん)なこと、「これも身から出た錆(さび)、父(とっ)さん堪忍しておくれ、すみより」